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夜の海アフター

夜の海アフター

if妄想で考えたものですが、空想世界本編に入れる予定。
先行で載せておきます。







月明りの無い夜、

暗い海に消えかけた白い腕を必死で掴み、

優しく抱きしめていた。







まだ少し湿っている髪を撫でようとして、するりと宙をかいた。
ベッドから体を起こして背を向けた主の腕を、オレは再び掴んだ。

「まだ続けるつもり?」

互いの瞳と瞳が重なり合い、

「……まだだ」

そう制して、背中に腕を回し自分ごと倒れるように引き寄せ、温もりの中に留めさせた。
先程よりも強く、ぎゅっと抱きしめる。

「オレさ、お前が勝手にいなくなるの本当に嫌だから」
「どうして?」
「……絶対に嫌だから」
「それ、理由になってないわよ」

呆れる声にそうだな、と小さく笑い、優しく背中を撫でる。







自分がいることで女神が笑顔でいてくれる。

それはオレにとっても、自分の事のように幸せだと思う。



最悪、失った翼が元に戻らなくても、

オレがずっとこの世界にいることで、

欠けた存在の代わりになれたら、







……いや、何考えてるんだ。

オレは元の世界に戻るんだろう。

互いに、いるべき世界が違うんだから。







今度こそ逃がさないように気を張りつつ、まだ湿り気のある髪に手をやる。
優しく撫でてやると、ようやく諦めたのか頭をうずめて体を寄せてくる。
冷たい体を抱きしめたまま、ゆっくりとまどろみに入った。

海は暗闇に飲み込まれ、静かに揺らめいていた。






 


 
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2018-06-11