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廊下 2

彼女が去ってしばらく経ったが痛みが引かず、仕方なくおぼつかない足取りで階段を降り始めた。
手すりに捕まりながら一段一段降りるそれは生まれたての動物のようというか、老人のようというか、とにかく情けない様子だった。

「先輩っ…!?」

声の方を見下ろすと、ひどく心配した見慣れた顔があった。大丈夫、と漏らすような声で返事をしつつ階段を降りることに専念しようとしたが、かえってハル君を心配させてしまったようだった。

「大丈夫じゃないでしょう!?誰にやられたんですか!?早く保健室に連れていかないと…」
「…それより、……あの、女子生徒は……」

既に顔に思い切り態度が出ている。痛みに耐えながら彼女の容姿の詳細を説明する手間が省けたのは幸いだったが、ハル君は珍しく低い声を発して。

「あいつですか……オレ、直接文句言ってきますよ」

と、何か薄暗いもやが出て来そうな雰囲気を纏って階段の先を凝視していた。

「そうじゃない。彼女は……一体……」



「噂なんですけど、ここの学校の理事長の娘とか……ってだけで、授業は抜け出すし態度は悪いしで、ただの不良ですよ……」
「…」
「先輩、本当に大丈夫ですか?痛み、続くようなら後からでも見てもらってください」

弁当を拾って脇に抱え、もう片方の手で僕の腕を支えて歩くハル君は、未だ機嫌の悪そうな顔でそう紹介をしてくれた。
いかにも彼女らしい様子が伺えるのだが…。当の彼女からは「意味が分からない」と突き放された挙句、逆にこの場所にいる意義を問いただされてしまった。
目的…と言われても……。手の施しようがない鈍い痛みを気にしながら、教室の立ち並ぶ階へと向かった。


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2019-12-12