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追想

涼春との戦闘シーン
(空想の時よりも、少し手前から始まる)




魔界の広場の中心で十数の悪魔達が、彼女を取り囲み、襲いかかっている。
が、彼女は手を振るって風を操り、容易に近寄らせない。
攻防が続く様子の最中、僕は、その姿を見ていた。

記憶の中の君よりも、背丈は高くなっていて。
より美しく、大人びた姿の少女へと成長していた。
そして、その背中には翼を1つだけ携えていて…。

過去の君ならば、数多の群衆でも容易に蹴散らしていただろう。

神と悪魔。両者が倒れることなく睨み合っている、この状況が意味するのは。
神としての不完全な姿と力を持ったまま、この世界に舞い戻ってしまった、ということだ。

「片翼を携えし大いなる者よ」

群衆の前に出て、言い放つ。

「君は、消えるべき存在だ」

あの時。
別れを告げたのに。二度と出会わぬよう祈ったのに。
僕と君の繋がりは、切っても切れない糸のように手繰り寄せてしまった。

もはや、これまで。

覚悟を決める。
彼女を大きな炎の円で囲い、禍々しいほどの闇の炎を向けて、放つ。

最期は。
僕の手で葬るんだ…。

「うおおおおおおおおおおっ!!!」

天から降って来たのは。
先程の、少年……!!

逃げた……はずでは……!?
予想外の登場に驚きに、咄嗟に出そうになった声を、自制した。
少年は炎の円内に華麗に着地し、少女の前に立ちはだかる。
放たれた闇炎を、手から発した風の渦で受け止め、
キッ、と僕を見据えて、大声で言い放った。

「たしかに生意気だし、全然人の事を分かってない時もある!」
「けどな消えるべき存在って…!何様のつもりだっ!?」

「オレの女神様に嫌がらせすんじゃねぇ!!」

ああ…。
その名は。その姿は。
(ドキリとさせられ、一度目を閉じる。)
少年、君は…。
彼女を自らの神様として、本当の神様として、慕っているんだね…。
そして、彼女を。庇うんだね。
(再び見開く。)

「あのね、これは嫌がらせじゃないんだよ。正当な処罰さ」

「そんな。女神が何をしたって言う…」「!!」
「女神の過去を知っているのか!?」
「もちろん」

何も知らない、少年に。
背負ってしまった、少女に。
告げねばならない。
僕の、この手で。この力で。
世界から彼女を、君もろとも、消し去るんだ。
これは、闇の力に支配されてしまった僕の。
宿命だ。

「彼女は空想世界を創った張本人」
「自らの手でこの世界を壊した、罪人さ」





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2019-10-06