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3年K組 1

菓子を食べたような、甘ったるい感覚。
暖かな日差しに包まれ、気分はまんざらでもない。
夢のような跡に残るのは。
虚像。




目が覚めた時には知らない部屋にいた。
誰もいない密室は、壁も天井も窓の外も白くて、同じ形の木の板と鉄を打ち付けた机と椅子で埋め尽くされていた。なんだか居心地が悪かった。

シンと静まり返っていた教室だったが、壁に掛けられた時計が8の字に差し掛かるとガラリと扉が開き、人々が入って来る。
皆、自分と同じ機関の服を身に纏い(女子はスカートであったが)、どの人物も同様に、顔に白紙を貼り付けている。一人目が入ってきた時は凝視してしまったが、二人、三人と続けて入って来た同じ顔の人物達を見て、視界から外した。

部屋の座席が満員になった頃。
やはり白紙を貼り付けた中年の男性が入ってきた。
名前を呼ばれ、全員の安否を確認すると出て行く、教師と名乗った担当の人物。
代わりに入ってきたのは先ほどと見た目の変わらぬ別の教師。
そして、「授業」が始まった。



この世界での一般常識は知らないはずなのだが、問われるたびに答えがスラスラと出てくる。
他の人物が返答に迷いつっかえるような箇所も、だ。
教師は感心して「さすが生徒会長だ」と言い、クラスメイトは「エリートだ」と褒める。

この世界にいた佐ヶ浦秋良は、飛び抜けて優秀な人物だったことが伺えた。
そして、その優秀さは今の自分にもピッタリと当てはまっているようだった。
そのためか、佐ヶ浦秋良の中身が変わった事を誰も疑わない。言ったところで大差はないし、信じてもらえないような気もするので、このまま佐ヶ浦秋良として過ごした方が良さそうだと思えた。
そう思うと、心が自信のようなものに満たされた。
授業終了までの間は概ね順調に思えたが、喉に妙な感覚がつっかえていた。


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2019-05-24