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小説 ふたつの境界

創作ってやっぱ突然天上から降ってくるものなんですかね、まのらです。
ずっと書けてなかった創作本編(に触れる話ですが)をものすごく久々に思い付いたので綴っておきます。
文章力と語彙力には目をつむってください!すいません!(泣 恥ずかしくなったら消します。
【空想世界】ふたつの境界



君は隣に座って海を見つめる。
透き通る空色と深い青緑色が境界線をくっきりと際立たせている。
それがなんだか美しくて、重い足を投げ出して一緒になって見つめていた。



「いつまで旅をするつもりだ?」
「そうね、いつまででしょうね。」



君は憂鬱そうな表情を見せる。が、それはほんの一瞬で、少し間を空けて微笑む。



「でもね、もっと見てみたいの。」
「見てみたい?」
「そう、色んなもの。」
「あの鳥籠みたいな小さな島の中にいて、何でも知った気になっていたわ。
けど、そんな事なかった。何も知らなかった。籠の外にはもっともっと色んな事、色んな物、色んな思いがあることを知ったわ。
私は無知で無力ね。」
「そんな、無力なんかじゃないよ。オレより体丈夫そうだし、力強いし。」
「少年、そういうものじゃないのよ。」



君は背中に宿る、片方しかない翼に手を伸ばして撫でた。



「力がないから、この翼だって…。」



と、言いかけて口を止めた。
口は笑ってるけど目は曇っている。
俯く表情にオレは何か返そうとしたが、何も言えなかった。
しばらく沈黙が続いた。



「ま、これでいいとは思ってないわよ。何とかしたい気持ちはまだあるし、何とかするわ。
その何とかって方法はさっぱり分からないけどね。」
「…分かると、いいな。」
「そうね。」



どうにもならないことを言ってもしょうがないな、と思いつつ遠くを見つめた。
君は軽く伸びをして、そのまま体を後ろに倒す。



「運命とか偶然とかいちゃもんつけたくなるような、
そういうすごく大きな事って起こるものよねぇ。善くも悪くも。信じがたい事もね。」
「そう、だな」



上手く返せず曖昧な返事をしたのが悪かったのか、君はやや不機嫌な顔になった。



「んー?なんか反応薄いわね。実際に空想の世界に飛ばされるなんて信じがたい事を体験してるはずなのだけど。」
「いや、ここもだいぶ慣れちゃったしな。今じゃ自分の世界みたいに思えるし。」



不満そうな顔を見せた君は、先程見ていた景色に指差しながら言う。



「いい?少年、あの綺麗な空と海だって、いつか互いの色を変えながら、混ざり合ってぐちゃぐちゃになる日が来るわ。」



それは預言者にでもなったかのような堂々とした口振りで、オレは小さく肩を震わせた。



「はは、そんなことあり得ないだろう。」
「あるかもしれないわよー。ここは空想の世界、何が起きたって不思議じゃないのよー。」
「例えば何が起こるって言うんだ?」
「んー、天変地異とかかしら?月と太陽がひっくり返って降ってきてもいいわねぇー。
それで慌てふためいた住民同士が激突して世の終わりに追われながら血みどろの抗争を…なんてドキドキする展開じゃないかしら。」
「相変わらず発想力が豊かなことで。」



たまに突拍子もないことを思い付くけど一体どこからそんな事を思いつくのだろう。頭の中はどうなっているのやら、と呆れた。
妄想を広げる君の怪しくも輝いた瞳には、先程の落ち込みはもう見えないようだ。
からかう君を見ながら冗談混じりに息を吐いた。



「ただの人間じゃ、天変地異なんて起きたら生きていけないなあ。この広い世界のどこかにいる素敵な女神とかが助けてくれないと。」
「何よもう、弱気ね。」



そう交わして、二人は立ち上がった。
傾きかけた日差しに、ふたつの境界はうっすらと橙色に染まっていた。
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2015-09-04