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 まだ朝8時だというのに空は元気に晴れ渡り、
いくつか雲が浮かんでいる。
そんな景色を少年はぼんやりと…過ぎ去って行く雲を見つめていた。
今日の仕事はまだ残ってはいるが、夜までにやっておくべきものはすべて終えてしまっていた。
やる事なくなってしまい、デスクに突っ伏して休憩中だった。
まだ朝早いから来客者が来ることもないだろう。

「暇だなー」

そんな独り事つぶやくと、何を急に思い出したか椅子から立ち上がり、
外へと出て行った。




―第2話―




海は朝日できらきら輝き、風はピタリと止まっている。
少年はひとり、海岸を歩いていた。
何かが異常がないかパトロール…というより、暇潰しのただの散策だ。
異常があることなんて滅多にない。
しばらく何もない退屈な海岸を歩いていると、遠く彼方に何かが見えてきた…。
白いボールのようにも見えるがどうやら違うみたいだ。

「何だろう?ちょっと気になるな…」

疑問に思い、ゆっくりと近づいていく。
そして目の前に着いた時、それは突然"動いた"。
もぞもぞ…

「ピーっ!」
「!!」

鳴き声。鳥の鳴き声だ。
ボールに見えたそれは小鳥だった。
空想世界に生き物は住んでいない。
オレだけしかいないはずの独りぼっちの世界――。

…他の世界から偶然迷い込んで来てしまったとしか考えられない。
小鳥ひとりで飛んできたのだろうか?いや、きっと親と一緒だったのだろう。
そんなことを考えているとなんだか小鳥が可哀想に思えてきた…。
ここにひとりで残すのは良くないな。
小鳥をそっと抱き上げてみる。あたたかい…。

「お前、ひとりなんだな…。一緒に来るか?」
「ピーっ」

うん、と返事をしたような見えた。



「何なのその子…まさか、拉致して来たの!?」

自称女神のやつにそう言われた。

「なワケないだろ。迷子だ、迷子」
「ふーん、そう」

なんか一発殴ってやりたい気になったが、とりあえずやめておいた。
海岸に小鳥ひとり残して行くのも何だか可哀想かな…
とは思ったが自分の部屋にまで連れてきてオレ。
今はタオルを敷いたバスケットの中にいる。
女神は小鳥をひょいっと抱き上げ、少しニヤケた顔でじーっと眺め…
その表情を変えずにオレの方に向けた。

「?(何か怪しいぞ…)」
「なっ…なんだよ」
「この子、あなたになついてるでしょ」
「はあ?そんなことな…」
「だってこの子、すごくうれしそうよ」

そう言われて小鳥の顔を覗きこんでみた。
さっきまでは固まっていたように無表情だったが、
オレが近づくと口をパクパクしたり羽をばたつかせてみたり、
…何だか嬉しそうに見える。
確かに、オレになついているのかもしれない。

「あなたのこと、親だと思ってるのかもしれないわね。ウフフ」

オレが親…?
ちょっと待った。こいつにははぐれた親がいるんだった。
ちゃんと元の親に返したほうがいいんじゃないのか?

窓の外を見てみる。相変わらずの晴れ模様。
親は我が子の元に戻って来るのだろうか…。
…戻って来そうにもない。
仕方ない、オレが預かっているか。

「この子に名前つけてあげたら?きっと喜ぶわよ」
「えっ名前?」

そりゃこれから育ててやるんだから名前は必要だが…。
どうしよう。オレ、ネーミングセンスゼロなんだった!

「あのさ女神、お前はなんて名前がいいと思う?」
「私が決めていいの?えっと…鳥三郎なんてどうかしら」
「…や、やっぱオレが決めるっ!」

女神から小鳥を奪い取る。
…女神に聞いたオレが馬鹿だった。

「えーと、ピーなんてどうだ…?」
「いいと思うわ!小鳥らしくて可愛い名前ね」

よかったな、ピー。鳥三郎にならなくて…。
ピーの頭を優しく撫でると嬉しそうに鳴いた。





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2037-01-20