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出会い

幼い頃に渇望し、叶わなかった願い。
もう、過ぎてしまって遅いかもしれないけれど。
今からだって、叶えてもいいよね。



希望通りの中学校へと入学した私は、"一度死んだことにした"。そして"生まれ変わったつもりで人生を歩み直す"とも思った。
過去の事は全部忘れたと、無理矢理思い込んで思い出さないようにした。今までちゃんと勉強しなかったし、人より遅れている分、頑張らなきゃ。そう心も入れ変えて、授業はより真面目に受けるようになった。相変わらずぼーっと窓の外の空模様を眺めていた時もあったけどね。
あとは。1つの居場所、1人の人間にこだわらないようにしていた。休み時間の度に関わるグループを替えて、誰か一人とだけべったり仲良くはならないようにした。もし相手にしてもらえなくなっても、別の、また別の居場所へ行けばいい。だから私は誰にも気を許さなかった。広く浅く、表面的に済むレベルで関わるだけ。それでも十分、今までの出来事を吹き飛ばしかねないくらい、楽しく充実した一年を送ることが出来た。
その頃から、私はよく、丁寧に優しく振る舞うようにしていた。人に優しくすれば、人の都合に合わせて相手をすれば、決して攻撃されない。暴力を振るわれることもない。自分を守るために、始めたのだった。だから、学年がひとつ上がった頃に、人から感謝されるたびに呼ばれるようになった名前は…「天使」だった。そんな、優しくないんだけどなあ。そう内心思いつつ、校舎の階段を上った。新学期を迎えて新しい顔ぶれのクラスメイト達に向かって笑顔で振り向いた。

「うそうそ!あってもその羽、きっと真っ黒だよ!」

一方で。前を歩く友人達の会話を聞きながら歩いている間。ホームに立って、帰りの電車を待つ間。乗車してドアの窓から過ぎ行く線路を眺めている間。
(今一歩踏み出せたら、死ぬんだろうなあ。)
ふとした瞬間、そのひとつの行動で自分の命なんて簡単に終わってしまうのだろうと頭の中で想像して、思う、という事をよくしていた。もちろん行動に移すつもりなんて全くないけれど、今の自分が、その瀬戸際に立たされているような、いないような、一瞬自分のいる現実がどちらなのか分からなくなる、なりかけるくらい、不安定であやふやな感覚を覚えた。そしてその度に、心に空いた大きな穴の内側を風が通りすぎていく。そんな時ばかりは、埋まらない虚しさを抱えていた。



さて、人に反抗することを忘れてろくな思春期も迎えずにだいぶ月日も経った、中学2年生の冬。この時の私は、ものすごくものすごく…。悩んでいた。

愛読していてそしてとても尊敬しているライトノベル作家の先生が、自身の作品のあとがきで「小説を描く練習の第一歩として、まずは日記を書き始めてはどうか」と述べていたのだ。当時は絵を描くことだって頑張ってはいたが、どちらかというとオリジナルの話を考えては楽しむ方にはまっていたのだ。出来るなら、自分で話を書いてみたい。

「って言われてもー!無理!!」

毎日毎日学校で書かされる提出課題の日記が質素すぎて面白くない、の判を押される私が日記だと…!?むりむり絶対に面白くない。三日坊主どころか一日で終わる。どうすりゃいいの。

「そうだ……誰か一緒に…、日記の話し相手になってくれる人を作ればいいんだ……よし……」

―――――
2010.1.9
<予告…?>
すっごい早さでこのノートも終わろうとしている…!!はやっ!えっ、これ秋から描いているの!
すげー!はやーい!もうすぐおわり?いつも半年以上は使ってるのにー!?ひゃー!うれしい!
それはさておき、これからもがんばってかくぞー。おーっ!おっとそうだ!
もしかしたら今、そこでこの文を読んでいるそこのあなた!そうあなたです。
こんなやつですが、おうえんしてください!!よろしくお願いします。
あ、絵のリクエストとか待ってまーす。かなり気まぐれだからあれかもしれないけれど。

…なんでこんな急に長い文をかいたか、だって?(そういえばなぜ?)
いや。ちょっとね…。(かくすなよ。ちゃんと書けよ)
ついさっきまで小説を読んでいたのだけどもね、(なになに)
なんかふと、小説でも書けたらなーとか、思ってね、(へぇー)
なにかお話でも考えるかーと思ったけど無理だから、(えーっ、何か書いてよ)
こーしてお絵かきノートに<予告>をかいてみたのよ。(予告じゃなくなってるよ)
なにかお話を考えてもさ、(うん)
話の途中しか思いつかなくて、(なぜ途中??)
話の最初と最後はどーでもよくなってる感じ。(想像力ないなー)
しかたないでしょー。書くの大変なんだから。(何がしかたないんだよ)
そういえばさー。(ん?なに?)
あんた誰?(…)
急にだまらないでよ。さっきから右側に( )ばかりかいて、人の話をぬすみ読みしてるあんたのことよーっ!
誰なのよ。名前くらい名乗りなさいよ。(…それはちょっとできないんだ)
何でできないのよ。(まあ、…いろいろあるんだ。今は秘密ってことで)
秘密?ふざけるなー!(えー、ということでー)
(そろそろおわりの時間が近くなってきましたー。それではまた次回!)
ええっ、ちょっと。勝手におわらせないでよ!(だってもうノートのスペースないから…)
しかも次回って何よ。続くのコレ!?(さあねー。知らないけど)
続かなくていーよぉー!(ここまで読んでくれてありがとうございました!)

―――――



「…………やればできるじゃん、私」

書き上げた一通り見返して、満足げにノートを閉じた。頭の中に残る何かの気配を感じつつ、1日を終えて寝た。



―――――

第2回 ××のトークショー ※そのうちやぶっちゃうかも。見れた人はラッキー(?)

トークショーというよりは日記に近いかな?
日常生活の中で思ったことや考えたことをかいていくよー。
…今の時刻は午後11時10分。夜です。今日一日ぐだぐだすごしました。ゲームやってテレビ見て、ゲームして食べてお絵かきして、また食べてゲームしてお絵かきして…とやることあるけどひまです。これから寝ますが、まだゲームをやっています(笑) 今部屋に一人なんだけど…話相手がいなくてひまだなー。

???「今、呼んだー?」
××「…あんた誰…まさか、ゆうれいだとか…」
???「違う違う。こないだ会ったでしょ。ほら、前回のノートで」
××「…!あのときの!まったく、人の話を盗み聞きして…!ふぅ、おこるのはやめよっと。疲れてくる」
あのときの人「ねぇ…ちょっとさー。名前の表示が『あのときの人』になってるんだけど。ちょっとひどいよ。なおしてよ」
××「えーっ。いいでしょ、それで。というよりあんたの名前教えてもらってないのよ。…まあ、???はやめたほうがいいかもね」
???「本名は教えられないから…そうだ!ニックネームでもつけてよ!」
××「じゃあ、『なぞの人(仮)』ってのはどう…?(なぞだらけだし)」
なぞの人「…びみょー。んー、でもこれでいいや」…… ……

―――――



不思議なことに、3日もたたずに終わると思っていた日記が続いたのだった。飽き性の私が? それだけで、当時はずいぶん上機嫌だったと思う。仮で立てた話し相手がいたのが良かった。今後も活用しよう。ただ、名前がないのは不便だし、さすがに可哀想だと思った。とはいっても真剣に悩んで決める気もなく「いい名前があったら教えてね!」と広く浅く関わってくれる友人達に宣伝し募集していたのだった。

…私が人に意見を聞く時は大抵、既に自分の中で答えが決まっているのだ。結局、いくつかもらった案を捨てて、出来立ての君の名前を日記に書き連ねた。







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